アレクサンダー・テクニークの最大の問題点は「あらゆることに役立つ」ことなんです。私は、「管楽器奏者のためのアレクサンダー・テクニーク」と特化を進めていますが、普段から弦楽器、ピアノ、ギター、歌だけでなくヨガやオフィスワークなどについてもレッスンしています。
しかし、もちろん金管楽器ほど、その演奏における実際の要請、悩み、現象について実感とともに理解も体験もしている分野は、私は持ち合わせていません。(あがり症問題を除く)
アレクサンダー・テクニークは驚異的な汎用性を持つ反面、具体的応用のノウハウは、まだ育っていない分野がほとんどなのです。日本で金管楽器に関しそれを始めたのが私でした。私自身が自分の演奏に生かしたかったからです。
金管楽器演奏という狭いフィールドにおいてのアレクサンダー・テクニークの応用だけでもまだ先は遥か向こうまで続きます。具体的応用の最大の利点や意義は、アレクサンダー・テクニークの効果ではなく、コミュニケーションのスムーズさと濃密さです。
そのあまりの汎用性と普遍性が、アレクサンダー・テクニークを「伝える」うえで長らく障壁になっています。それが、特定分野への具体的応用がすすむと、その分野においてアレクサンダー・テクニークは理解できる・使えるものに変貌します。
その実感は日々深まり、私のやるべきことは第一義的に金管楽器演奏への応用の研究・実践を蓄積し進めること、そして木管、弦楽器、歌唱など他分野で応用を主体的に進めていく各分野専門の優秀なアレクサンダーテクニーク教師を育成することだといまは感じています。
いまはブログタイトルが「管楽器奏者のためのアレクサンダーテクニーク」ですが、木管楽器の優秀な指導者が何人か育てば「金管楽器のため」に変わるでしょう(笑)そしてその数年後には「ホルンのために」に(笑)ホルン演奏への応用と、アレクサンダー・テクニーク自体の研究。そんなイメージ。