なぜ、私がいつもブログやウェブサイトなどを用いてインターネット上に様々なアイデアや見方を発信しているかということを少しお話します。
最大の理由は、「自分が高校生や大学のときに、インターネットなどで練習と成長を助けてくれて役立つ情報がもった欲しかった」からです。
楽器のレッスンにしても、アレクサンダー・テクニークのレッスンにしても、「レッスンを受けないと分からない」と言われていることが多いですね。楽器の教則本でもアレクサンダー・テクニークの書籍でも、文中に「結局はレッスンを受けないとダメ」ということが書かれていることが多い。
でも私は高校生や大学生のとき、なかなかちゃんとレッスンに行ってみるという勇気が出ませんでした。
しかし状況が切羽詰まって、実際にレッスンに通うようになったら、その恩恵の絶大なる事、ひとことでは言い尽くせません。「もっと早く知れていたら…」と思いました。
楽器の教則本やメソッド本、あるいはアレクサンダー・テクニーク関連の書籍では、「すごく大事なことが書いてある」のは分かるし、考え方や理念にもとても共鳴しました。しかし「いまからできる具体的なこと」は本をいくらめくっても逆さにひっくり返しても出て来ない。
大学を卒業し、アレクサンダー・テクニーク教師資格のための本格的な勉強を始めるようになると、教師養成クラスの授業が毎回、宝物のような発見とアイデアの連続でした。だから私はそれを書きとめ、またブログで公開することを始めました。4年前のことです。
書籍で、「アレクサンダー・テクニークは身体の使い方を体感する必要がある。だからレッスンに来ないと分からない」という趣旨のことはよく見かけます。
しかし、私は「アレクサンダー・テクニークは身体の動きを決定づける『思考の使い方』のメソッド」であると思います。
アレクサンダー・テクニークが、身体の動きを望み通りのものしていくための『思考の使い方』のメソッドであるとしたら、「思考」は言語的なものが非常に重要な役割を演じています。それならば、アレクサンダー・テクニークで私が学ぶことは言語化できるし、ある程度言語のみで伝えることができるはず。
そう考えて、私はブログで自分の発見やアイデアを書くという作業を4年間続けてきました。その延長線上に、ウェブサイト、動画、書籍が出来上がりました。
もちろん、実際にレッスンに来て頂くと、あなたが演奏をするときに何が起きているのか、あなたの不調や上達の壁を作っている「実際に起きている事」を直接この目で見ることができ、正確なフィードバックと「あなたのいま」にベストフィットのアドバイス・プランを提供できます。
また、「能力がより発揮される身体の使い方」を手技を使って直接体感してもらいます。これが物凄く重要かつ決定的なのはその通りです。(詳しくはレッスン動画をご覧ください → レッスンの様子を動画で学ぶ )
しかし、その手技もを使う間も、私は「考えてほしいこと」を言語化し続けます。レッスン後、自分で「能力を発揮する身体の使い方」を実現したいとき、そこに至るツールは「思考」であり、思考の手段において「言語」は決定的だからです。また言語は空間と時間から制約を受けずに「お渡し」できます。
したがって、インターネット上や書籍で私は「言語」という手段で「レッスン」をしているわけです。
アレクサンダー・テクニークのレッスン。私はそれを、「能力を発揮できる『思考・アイデア・プラン』を持って帰ってもらう事」で「よし」としています。直接レッスンはその濃度がとても高いだけです。
そういう意味で私は自分のことを、「音楽家をサポートするコーチ的存在」なのだと現時点で考えています。
フィジカル、メンタル、健康を総合的に把握し、前向きな意味でコンディショニングし、よりよいパフォーマンスとその人にとっての最高の能力を引き出し、キャリアをサポートする。音楽家のための総合テクニカルコーチ。そんな楽しい職業です。
以上です!