「栓をする」〜普通のタンギングとダブルタンギングの息圧エクササイズ〜

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きょうは、ダブルタンギングについて悩んでいる方や関心がある方にはぜひ試してみてもらったり、
教えてみてあげたりしてほしい簡単なエクササイズを紹介します。

【「栓」をするものとしてのタンギング】

タンギングというものをどう考え、どう定義づけるかについては様々な考え方があるでしょう。

この記事では、タンギングとは「栓」であるという発想から進めていくこととします。

わたしが、タンギングは「栓」である、という考え方に初めて触れたのは、
ドイツの大学で学んでいた21歳のときのこと。

ロンドン在住の素晴らしいホルン奏者、ピップ・イーストップさんのレッスンをロンドンまで受けに行った際のことでした。
(イーストップさんに関連した記事一覧はこちら

ちょうど地下鉄テロの数日後で、街に緊張感漂うなかでの初ロンドン。
地図を見ても道がよくわからないなかでどうにかこうにかイーストップさんの家にたどり着いたのを覚えています。

イーストップさんには、『自分で自分を指導するための理解や考え方を知りたい』と話したのですが、
それにイーストップさんなりに応えようとしてくださって教えていただいた様々なことは、
当時は理解できなかったり実践できなかったりしたことでも、いまは多くが非常に役立っています。

そのひとつが、

『タンギングとは栓をして、そして栓を抜く行為である』

というものでした。

【ベロで息圧を高める】

ここから先は、その考え方から導き出したタンギング、そしてダブルタンギングを理解するためのエクササイズです。

① 鼻から息を吸い、

② あなたの普段のタンギングをしている場所にベロを当て、

③ 息を吐き出しにかかります。

④ しかし、②の段階で息の通り道にベロがあるので息がまったく外に出ないか、少し漏れるだけになるでしょう。

⑤ 息を吐き出す運動は続けていれば、息はどんどんベロよりあなた側の口の中や喉などに溜まっていくでしょう。

⑥ これが「息の圧力」です。

⑦ この息の圧力を作り続けるか、保ち続けるかしながら、ベロを当てている場所から離します。

⑧ そうすると、息が口から外へ流れ出て行きます。


これが「普通のタンギング」の中身です。

何度か楽器なしで身体だけで①〜⑧をやった後、楽器をつけて実際に音を出しながらやってみてください。

【ダブルタンギング】

ダブルタンギングも、上述の①〜⑧と基本的には同じではないだろうか、と考えてみることができます。

ちがいは、「ベロのどこを、口のどこに当てるか」にあり、
共通点は、「ベロで息の通り道に栓をして息圧を作る」ことにある。

そう考えてみると辻褄が合ってくるのではないだろうか、ということです。

〜A:ベロのどこを、口のどこに当てるかを探す〜

声には出さず息の音がするだけの感じで「クッ、クッ、クッ、カッ、カッ、カッ、ケッ、ケッ、ケッ」と言ってみます。

◎ そのとき、ベロのどこが
◎ 口の天井あるいは歯のどこに
◎ ベロがどのように動いて当たるか


これを観察しましょう。

正解探しではありませんから、「このとき、どうなっているかな?」という問いに応じて、調べて
自分なりに「こうなっているかな?」と感じたものが『ダブルタンギングの出発点』でOKです。

〜B:その場所でタンギングエクササイズ〜

① 鼻から息を吸い、

② Aで探したベロの当て方・当て場所でベロを口の中のどこかに当て、

③ 息を吐き出しにかかります。

④ しかし、②の段階で息の通り道にベロがあるので息がまったく外に出ないか、少し漏れるだけになるでしょう。

⑤ 息を吐き出す運動は続けていれば、息はどんどんベロよりあなた側の口の中や喉などに溜まっていくでしょう。

⑥ これが「息の圧力」です。

⑦ この息の圧力を作り続けるか、保ち続けるかしながら、ベロを当てている場所から離します。

⑧ そうすると、息が口から外へ流れ出て行きます。


これが「ダブルタンギング」の中身です。

何度か楽器なしで身体だけで①〜⑧をやった後、楽器をつけて実際に音を出しながらやってみてください。

【分かれば練習がはかどる】

上述のエクササイズBは、普通のタンギングに比べて不慣れに感じたり、
息に対して栓をするために必要な力が大きいように感じたりするかもしれません。

それでOKです。

普通のタンギングの方が、慣れているわけで、
ダブルタンギングは用いる運動が異なるわけですから。

でも、「栓をする」というひとつの考え方に基づいて、普通のタンギングとダブルタンギングそれぞれの「自分のやり方」を意識的に把握すれば、こうして練習してみることができますね。

そういう練習は、「思考停止×回数依存」のド根性方式とは異なり、
ひとつひとつの手応えに興味を持ちながら自分の変化や上達を実感していくクリエイティブなものです。

ぜひ、「考えながら・意識しながら、やってみたらどうなるか実験してみる」ということを大切にして、
やってみてください。

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