歌うことについて、一言。

いまから説明するエクササイズでは、ホルンで奏でたいサウンドと音程のコンセプトを確立するために声で歌うことをあなたに指示する。歌われる音程がピッタリで正確であることは必須であり、それはその質が次いでホルンで演奏されるであろう音の質と音程の正確を決めることになるからだ。
あまり普段歌わず、声的能力が限られている場合、次のエクササイズを試してほしい。歌われる音程と演奏される音程の整合を向上する助けとなるだろう。

その1:
歌いやすい音程をひとつ選ぶ。その音程を大きめの声でハミングし、次に息をする。
「da」という発音で2秒間ほどその音程を維持し歌う。
さて、ハミングした音程と歌った音程は同じだっただろうか?
息の支えは、その音程を歌う前に確立されていただろうか?
音の始まりは明瞭かつ正確だっただろうか?
サウンドを、歌っている間に維持できただろうか?
このエクササイズもう一度やってみるのも良いかもしれない。

その2
歌いやすい音程をひとつ選ぶ。今回は、ハミングする前にどのようにその音程を歌いたいか決める。
息の支え、発音の質、そして生み出したい音の質を考える。
音程をハミングし、呼吸し、息を支えて「da」の発音で3秒ほど歌う。
このエクササイズもう一度やってみるのも良いかもしれない。

その3:
歌いやすい音程をひとつ選ぶ。今回は、「心の耳」の中でどのようにその音程を歌いたいか決める。
それはつまり、実際に歌うその前に音程をどのように歌うか
イメージ(呼吸、支え、発音、質などetc…)するということだ。
頭の中で自分の音のコンセプトに沿って音程を聴き、かつ歌っておくのだ。
実際に歌うその瞬間まで「心の耳」の中で音を聴き続けておくように確認しよう。
自分のコンセプトに比べて、実際に歌った 音はどれほど正確だっただろうか?
このエクササイズもう一度やってみるのも良いかもしれない。

このエクササイズにたっぷり10分はかけてみよう。ホルンで創り出したい音のコンセプトを形作る作業の中での気付きを高めるだろう。気付きが高く、そしてこの作業を正確に能力が高いほど、次に紹介するエクササイズが効果的になる。

ブログでは読めない話もたくさん!ぜひメルマガをGET♪

レッスンの申込や出張依頼などについては、こちら!

歌うことについて、一言。」への3件のフィードバック

  1. 「感覚的評価は正しくない」」というアレクサンダー・テクニークの基本的発見と、「イメージする」ということ、この間に矛盾はないのでしょうか。もちろん矛盾はないと思いつつも、これを具体的にどう理解したらいいのか、結構重要な問題だと思いますね。

  2. 是蘭さん

    こんにちは。いつもお世話になっております。
    アレクサンダーの言う「感覚的評価の不正確さ」は、『評価』の不正確さであって『感覚』そのもののことではないのですね。

    まずそれがひとつ。

    また、この記事中のイメージとは感覚ではなく、むしろ指令なのです。
    運動の目的である「音」。そしてその音を作る身体運動の正確な指令。
    「考える」ことであって、「感じる」ことではないのですね。

  3. プラン A・B・C

    プランA: 演奏する前に「心の耳」で音程をあらかじめ聴く =「息にのせて歌う」 プランB: 音程と筋肉記憶をすり合わせる (メンタルなイメージと本能的な記憶を使う) プランC: 頭の中のイメージを作る ホルン奏者にとっては、プランAとBが最も頻繁に使われる。練習(繰り返し)が、聴いている(心の耳で)または見えている(楽譜上の記譜として)音程との関連で筋感覚的記憶を増強するからだ。「筋肉記憶」とは、繰り返し、この場合望む音程の再現を繰り返すことにより、本能的に特定の動きを再現できる、または動きの組み合わせを再現できる能力のことを指す。この記憶は、ひとつひとつの音程が個別にそして他の音程と比べてどんな感じがするかを表すメンタルなイメージを使うことでサポートし増強することができる。 世界的に最も優れたサッカー選手たちが直接FKを狙う様子を見ていると、彼らがいかに注意深くゴールとの距離を測り、どこにボールを狙うか決定し、リラックスするために呼吸し、集中力の焦点を合わせ、そしてボールを蹴る様子が観察できる。決定は潜在意識的に、本能的になされる。それと似たように、決められた音程を私たちは聴覚的にまたは視覚的に狙い、息をして、フォーカスし、演奏する。判断は潜在意識的になされており、私たちの「筋肉記憶」が必要な息の圧力とアンブシュアの形を再現してくれる。「練習が完璧を作り上げる」のであり、このやり方でうまくいっている限りは、何事も大丈夫だ。 『歌うことについて、一言』へつづく Basil Kritzer ホルン&金管トレーナー。 BodyThinking認定コーチ ThinkingBody 認定コーチ 京都華頂女子高等学校音楽科ホルン科講師。 香港生まれ、京都育ち。ドイツ・エッセンフォルクヴァング芸大ホルン専攻卒業。 現在、BODY CHANCE にてアレクサンダー・テクニーク教師養成課程履修中。通訳兼務。 2012年 アレクサンダー・テクニーク講師資格取得予定 バジルの練習動画日誌 バジルのメルマガ にほんブログ村 にほんブログ村

バジル へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です