【発音が詰まる・ウッとなる】

〜フィードバックの歪みを取る〜

発音するときに、ちょっと息が止まったり、喉がウッと詰まってから発音する状態にあるひと。よくレッスンで出会います。

どうしてそうしているのか?を伺うと、うち何割かは『音を外すないため・音を当てに行くため』というようなことを仰られます。

その場合、次のような話をします。


まず、「それは上達するためのフィードバックに対しノイズになりますよ」と。

そもそも、何らかの音を出そうと思い構えた時点で狙いを定めているわけです。その狙いが合っているかどうかはそこからそのまま音を出してみないと分からないですよ、と。

音が鳴るかどうか。

音が鳴ったとして狙い通りかどうか。

狙い通りでなかったとして具体的にどうハズれていたか。

いずれもはじめの狙いと用意の成果物です。その結果が、狙いと用意の良し悪し、良くないならどうか変えるとよいかを指し示すわけです。フィードバックですね。

ここで、音を出す直前に安全ブレーキをかけるかのようにウッと息を止めるとき、それはハズれるかもという不安や予期に反応・対応してやっているわけですが、それだとはじめの狙いと用意の結果は分からずじまいなわけです。

そして、力んでないやり方は発音直前の安全ブレーキ・コース変更的な方ではなく、はじめの狙いと用意のやり方であることが多いですから、

『音が鳴らない・ハズレる・微妙に当たる・いい感じに当たる、の全部アリということにまずしておいて、とにかく直前に息を止めずにそのまま発音しちゃおう』

これを実行すると、すぐに力みが大幅に減ったり、響きがとても増えてよくなったり、簡単に当たったり(!)という変化がものの1回〜2回くらいのチャレンジで起きる、というシーンが最近レッスンのときに続いています。

ある意味、初心貫徹ということなのでしょう。あるいは入出力のシュミレーションみたいなイメージです。出力結果を直接改ざんしても、面子は守れるかもしれないけど問題は何も解決していないとでも言いますか。入力してみて、出力がどうなるかを眺め、また入力を変えてみて出力がどうなるかを見守る。

失敗はデータであり、システムの機能を高めるには失敗によって収集したデータを用いるのが欠かせない!失敗回避ボタンを押してばかりだと、機能がアップしないよ、とそんなふうに言ってみることもできそうです。

Basil Kritzer

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