音大で学ぶ4年間を有意義に過ごすには

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あなたにとって大切なのは、音楽?それとも職業?
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プロ演奏家になりたい、と願って音大に進むひとの中でも、

・一生音楽や演奏に触れていたい、側にいたいからプロを目指すひと
・プロになれないならすっぱり演奏をやめて進路変更できるひと

がいると思う。前者と後者では、目標設定の仕方や人生設計の仕方はちがっていた方がいいかもしれない。

わたしは前者のタイプだけれど、そういうひとはたとえフルタイムのプロ演奏家になれなくても音楽に関わり触れ続けていられる人生設計やキャリア選択を意識するといいと思う。

プロ演奏家としての成功できてもできなくてもそうすればハッピーでいられる。
逆に、音楽から離れてしまうと不幸せになる。

後者のタイプのひとにとっては、プロ演奏家というのはキャリア選択のひとつであり、自分で定めたタイミングがくるまで、「プロ演奏家になること」あるいは「演奏家として成功すること」に全力を傾ければいいのだと思う。代替の選択肢を現実的に考慮しながら。

このタイプのひとにとっては、プロ演奏家になる・プロ演奏家であるということは、職業選択であり人生設計の手段である。

前者のタイプのひとが、後者のタイプのひとに影響されて真似すると、苦しんだり道を踏み誤ることがあると思う。 後者は、プロをまっしぐらに目指せるし、すぱっとやめることもできる。

前者は、そうではない。

音楽と共に生き続けることが大切であり、プロ演奏家になるというのはその手段のひとつにすぎないということを、忘れやすいし理解すらしていないこともある。プロ演奏家になるということ自体が、音楽に関わっていくための一手段にすぎないのだ。

後者は職業選択・人生設計の手段としてのプロ演奏家であるのに対し、前者は音楽に触れ続ける手段としてのプロ演奏家なのだ。

成功・達成より継続が大切なのだ、前者のタイプにとっては。
比較や評価のなかでそれを見失いやすいけれど。

プロ演奏家の中にも、それをまっすぐに目指してきたひともいれば、「なれたらいいな」くらいの気持ちでなっているひともいる。

それは優劣ではなくタイプのちがいだと思う。 自分のタイプを自覚して、音大の時間を過ごせれば学びはすごく捗ると思う。

自分のタイプと逆のことをやろうとしていると、大変だろう。

前者タイプが後者タイプのようにしようとするとプレッシャーに押しつぶされ音楽を学ぶ余裕が無くなる。

後者タイプが前者タイプのようにしようとすると、志向性が鈍化してチャンスをフイにしてしまう。

実際にはそのどちらのタイプでもないひとや、グラデーションもあるかもしれないけれど、こういう捉え方が誰かの役に立てば嬉しく思います。

Basil Kritzer

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音大で学ぶ4年間を有意義に過ごすには」への3件のフィードバック

  1. こんにちは。コメントから失礼します。
    私は、高校2年生のサクソフォンをやっている者です。最近、プロの音と自分の音をものすごく比べてしまいます。参考にする程度なら良いのですが……。楽器をやってから5年の自分と、百戦錬磨のプロの音が全然違うのは当たり前なのですが、どうしても自分の音が気になってしまいます。
    私は現在音楽科に所属していて、将来音楽大学に入学し、プロとして楽器を演奏したいと思っています。プロになる過程として今、高2の自分が鳴らしているこの音は、正しいのだろうかと疑心暗鬼になってしまい、すごくイライラしてしまい、練習のときも涙がでてきて、音も悪くなる一方です。もちろん音が良いときは吹いていてすごく楽しいし、とても気持ちが良いので音楽は大好きなのですが。一週間後に実技試験が迫っているのですが、音に気をとられ、どうしても曲練習(音楽作り、連符練習、アーテキレーション)に集中することができません。専攻の先生は私の音をいつも褒めてくださるのですが、吹奏楽の顧問の先生からは、いつも音について叱られてしまい、とても不安になってしまいます。(専攻の先生は優しい人なので、私に気をつかっているのでは……?とか)バジル先生、なにかアドバイスをいただけますか。音質は一旦横において、しっかり曲練習に取り組めるようになりたいのです。よろしくお願いします。

    • 中村さん

      そうですね、

      「楽器をやってから5年の自分と、百戦錬磨のプロの音が全然違うのは当たり前」

      とご自身でおっしゃっていますが、そこがまさに真実だと思いますよ。

      厳しい見方をすれば、「楽器をやってから5年の自分と、百戦錬磨のプロの音が全然違うのは当たり前」なのに、アンバランスな悩み方をして自分で自分の練習を台無しにしてしまっている….とも言えてしまいます。つまり、もっと気楽に、落ち着いて日々、健康な範囲内での努力を重ねるだけでいいしそれしかできることはないはずでは?

      ….とは言いつつも、こういうアンバランスで自分自身に有害な悩み方は、心の癖・傾向だったりします。そういうことは心理カウンセリングで取り組んでいくべき領域で(わたしももう5年ぐらいカウンセリング通っていますよ)、あまりにも気持ちの辛さが続くようであれば、カウンセリングにいくべきだと思います。

      ただ、どうも「顧問の先生」の言うことを真に受けすぎているのではないかという面もある気がしますね。

      楽器の奏法、音に関しては、まず普通に考えて顧問の先生より専攻の先生のいうことを聞いた方が絶対よいです。
      専攻の先生をもっと信頼した方がよいと思います。

      しかしながら、「叱られたこと」「ネガティブなこと」の方ばかり信用してしまう傾向があるのだとしたら、これはまたしても心理カウンセラーからの助けを得るべきテーマだと私は思います。

      まだ若いけれど、いまからカウンセリングのサポートを受けるようにすると、とても楽になって、人生のバランスがよくなりますよ。
      いま行ってくれないのだとしたら、この先の人生で、わたしにカウンセリングを受けることを提案された、ということを頭の片隅に置いておいてほしいなと思います。

      Basil

      • アドバイスありがとうございます!返信が遅れてしまい、申し訳ないです。試験が終わり、自分のこれからの課題が見つかりました。これからは、バジル先生のアドバイス通り、気楽に、自分に自信を持って、努力していきたいと思います。私は日常面ではポジティブな方なのですが、楽器の演奏となると、どんどんネガティブな方向にいってしまいます。どうしても辛い時は、今まで考えてもみなかったのですが、心理カウンセラーに行ってみようかなと思っています。今回は本当にありがとうございました!

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