アンブシュアタイプ研究の源流である故ドナルド・ラインハルト(1908-1989)の奏法論。ラインハルト自身の著書『ENCYCLOPEDIA OF THE PIVOT SYSTEM(ピボットシステム事典)1964』のp.26-p.35の記述より。
【息の仕方とアンブシュア】
《アンブシュアのことを度外視はできない》
金管楽器は演奏中、息を吸うのも吐くのも口から行っていて、そして口をアンブシュア形成しているのだから、息の吸い方吐き方とアンブシュアのことはつなげて考える必要がある。
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《重要事項》
・上下の唇はずっと触れ合ったまま
・アパチュアは自分で作っておかない。息が唇を吹き開ける
・マウスピースは常に唇に触れたまま
・口角から息を吸う。O(オ)ではなくI(イ)で。吸い込みは高い音程になるように。舌はそのときわずかに歯から離れる。
・発音のとき、その舌は吐く息に吹かれて前に行くようなつもりで。決して舌に力をこめて突くのではなく。
・そのあとの舌の戻りが発音を生み出す。毎回。
・吸ったあとの最初の発音のときの舌の動きは、横隔膜や腹筋の動きと協調させる。
・吸ったらすぐ発音。溜めない、待たない。
・アンブシュアを崩さずに吸うことを学ぼう
・余裕があるときはゆっくり時間をかけて吸おう
・次吸うまでに使うのにぴったりの量を吸うことを学ぼう。過多も過小もなく。
・吐き終わりのあと、吸う前に横隔膜や腹筋は緩む必要がある。
・タンギングしていてもスラーしていても息の吐き方は一定一様に。
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《歯磨き粉チューブのように吐く》
息の吐き方は、歯磨き粉チューブのように。すなわち、一番下から出口に向かわせる。骨盤から始めて腹部そして横隔膜へと持ち上げていき息を吐く。そうすることで十分に吐ききれる。
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