【息の綱引き】

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【息の支え=呼吸の綱引き】

「支え」とは、反対方向の動きが同時に生じることで力が拮抗したときに位置や速度などが一定に保たれる状態のことを指します。

綱引きで両チームの実力が伯仲すると、
文字通り拮抗して、綱の位置が変わらなくなりますよね。

支えって、そういうことです。

綱引きは2チームが全力で綱を動かしにかかっているわけですから、
支え「止める・硬める・固定する」ことと考えるより、
2種類の反対方向の動きを同時に使うと考えた方が実際的かつ実効的です。

さて、では「息の支え」とよく言いますが、
息に関しては一体、どうやって支えを作ったらよいのでしょうか?

2種類の反対方向の動きを見つければいいわけですね。

息に関しては、これは実はとても分かりやすいです。

なぜなら、そもそも「吸う動き」と「吐く動き」が反対方向だからです。

【2種類の動き】

〜A:「息を吸う」ときにやる動きと、その結果動くもの〜

①胸郭を拡げる
・首のすぐ下あたりが上に持ち上がる
・脇の下あたりが横に拡がる
・胸と背中が前後に拡がる

②横隔膜を下げる
・お腹が膨らむ
・肋骨の下の方が持ち上がる
・肋骨の下の方が横に拡がる

③お腹を膨らます
・お腹が外に膨らむような力を腹筋に入れる

〜B:「息を吐く」ときにやる動きと、その結果動くもの〜

①胸郭をしぼませる
・肋骨が息を吸うまえの位置へ戻っていく
・あるいはさらに凹んいく

②腹筋をお腹を凹ませる方向に使う
・お腹が凹む
・脇腹なども内側に絞られていく

✳︎胸郭=肋骨と胸骨で囲まれた胸のエリア✳︎

上記のAとBの2種類の動きがちょうど対称的になっていますね。
ですので、AとBで綱引きができるわけです。

【いつ綱引きするか】

AとBの2種類の動きが見つかったところで、次は「いつ」綱引きをするかが大事なポイントになります。

息を吸うときに綱引きするか、
息を吐くときに綱引きするか。

さあ、どっちでしょう。

答えは、『息を吐くとき』です。

なぜなら、息を吸うときに綱引きをすると、息が吸えなくなってしまうから!

【やりたいくない綱引き】

実際に、不都合な方の綱引きをやってみましょう。
息を吸うときに綱引きしてみます。

まずは、息を強く・長く吐いて息を吐ききります。
すると、先述のB-②のように、お腹が凹んだり、腹筋に負担を感じたりすると思います。

わざとお腹を凹ます/絞るようにして吐いてみてください。
腹筋を使うのがよく分かると思います。

これが、息を吸うときに使ってみる「反対方向」の動きです。
息を吸うとお腹が膨らむのに対し、わざとへこまして息を吐く運動を働かせるわけですね。

もう一度お腹を凹ませながら息を吐きます。
吐ききったところで、お腹に入っている力をキープしながら息を吸おうとしてみてください….

….全然吸えませんね!

「いきむ」ような状態になってしまって、大変です。

歌や管楽器の演奏にこれは役立ちません。

….でも、残念ながら「お腹に力を入れて息を吸え」という形でこういうやり方が指導されていることは、けっこうあります。

綱引き=支えを作れてはいるのですが、歌や管楽器の演奏にとっては不都合で邪魔な支えです。
支えの作り方とタイミングが間違っているのです。

【やりたい綱引き】

歌や管楽器の演奏で作りたい「息の支え」は、
息を吐くときに作るものです。

息を吐くときに支える=綱引きするということは、
息を吐くときに、息を吸う動きを加えるということ。

やってみましょう。

まず息を吸います。
鼻からゆっくり。
上述のAに挙げた胸郭やお腹の動きに気付きましょう。

胸郭が拡大する動きと、お腹が膨らむ動きが分かったら、
今度はさっきよりもっと長く吸い続けて、その動きをもうちょっとだけ長く・強くやります。

息吸い運動のエクササイズですね。

息を吸う運動を、いつもよりちょっとだけワザと・長く・強くできたら、
なんとなくでいいのでその動きを覚えておいてください。

では、改めて息を吸います。

そして、息を吐き始めます。

!!しかし!!

息を吐いている間も、さっき覚えておいた息吸い運動をやり続けてください。
胸郭の拡大や、お腹の膨らみを保っておくのです。

そうすると、

息を吐く運動に対して、息を吸う運動が綱引きをします。

そうすることで、

・息の出て行くペースにブレーキがかかり
・身体の中の息の圧力が保たれます
=「息の支え」が生まれています。

これが、やりたい方の綱引きです。

簡単で誰にでもできます!
まず息だけでやってみれたら、その次はぜひ歌いながら、楽器で音を出しながらやってみてくださいね♪

【ほかに参考になる記事】

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Basil Kritzer

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