あなたが舞台で輝くために〜25年以上、あがり症と向き合って〜

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わたしは、6歳でピアノを習い始め、中学1年生でホルンを手に取りました。

そして、たぶん7歳で経験したピアノの初舞台のときから一貫して、ほとんどの本番でとても緊張を感じています。



でも、その中にはうまくいった本番も、ボロボロだった本番もあります。

つまり、

「緊張する」=「失敗する」

ではないのですね。

同様に、

「怖い」=「失敗する」
「プレッシャーを感じる」=「失敗する」

わけでもありません。

本番の舞台上や、本番が近づいてくるときなどに感じる緊張や恐怖感は、乗り越えていくことができるのです。

では、その道筋を一緒に考えていきましょう。



【あなたが舞台でやることは、なんだろう?】

音楽を演奏することとは、

『なんらかのストーリー、メッセージまたは意味を聴いてくれているひとと共有すること』

です。

したがって、あなたが本番の舞台でやるべき唯一のことも、それなのです。
そして、本番のための準備をするということも、舞台でそれをやるための準備・練習・リハーサルなのです。

昨日の記事『表現することと、練習することが矛盾しない「練習のやり方」』では、あなたが個人としてどう練習するか・どう技術を身に付けるかということを、音楽とは『なんらかのストーリー、メッセージまたは意味を聴いてくれているひとと共有すること』であるということを基礎にして述べました。

また別の記事『合奏の表現が豊かになるとっても簡単で楽しい方法』では、合奏や合唱、アンサンブルなど複数人で一緒に音楽を演奏することについて、やはり同じく、音楽とは『なんらかのストーリー、メッセージまたは意味を聴いてくれているひとと共有すること』であるということを基礎にして述べました。

ですので、この記事を読んでいてもし、

「じゃあ自分は普段どう練習したらいいんだろう?」
「そしたらみんなと一緒に演奏するにはどうしたらいいんだろう?」

ということが気になったら、それらの記事を読み返してくださいね。


それでは、本番の緊張と恐怖感を乗り越え、あなたが舞台で輝くための道筋を歩んでいきましょう。

道筋ということは、そこには時間と順番があります。

ここからは普段の考え方から練習の仕方に始まり、本番直前、そして実際に舞台で行うことへと描写していきますので、書いてあることを本番直前からいきなり全部、焦って詰め込もうとするよりは、ちょっと先に控えている本番にむけてじっくり取り組んでいくようにして実践してください。



【ステップ1:ストーリーを準備しよう】

先に紹介した二つの記事をお読みいただければ、この記事でわたしが「ストーリー」あるいは「メッセージ」という言葉をどういう意味で使っているかはお分かりいただけていることでしょう。

何度も繰り返しますが、あなたが本番の舞台で行うことは、

『なんらかのストーリー、メッセージまたは意味を聴いてくれているひとと共有すること』

です。

ということは、あなたはそもそも語ろう・表現しよう・共有しようとしているストーリーやメッセージを持っていなければなりません。

音楽でストーリーやメッセージを語ったり、何かの描写をするということは、
台詞の代わりに音で語り、絵の具の代わりに音で描くということです。

ギャロップを聴くと馬を思い浮かべますよね。
演奏している側も当然、馬がなんらかの形で関係するストーリーやシーンを語るか描写しようとしているはずです。

ミスしない、間違えない、譜面通りにしかやってはいけない…
といった思考に執着さえしていなければ、誰にでも分かる話しです。


①本番で演奏する曲の練習をするとき、必ずストーリーかメッセージを語るか、あるいは何かの描写をしましょう。

その曲の本来のストーリーやメッセージでも構いませんし、
曲中の特定のフレーズの技術的な側面を練習しているときや、その曲の練習に新鮮味が失われているときなどは特に、その日やそのフレーズごとに新しいストーリーにしてみても構いません。


②音階、アルペジオ、ロングトーンなど基礎的・技術的な練習をしているときも、何かを語るか描写しましょう。

たとえば
・音階の上行時は日が昇る様子、
・アルペジオはウサギが山を跳び回る様子、
・ロングトーンは風が吹き抜ける様子,
etc…


どのような音型やパターンでも、あなたの感性に合わせてお気に入りのストーリーを作ることも、
毎日あえてメッセージやシーンを変えてみることもできます。

また、

・いつもお世話になっているひとに「ありがとう!と『言う』」つもりで音階を演奏してみたり、
・友達に「頑張れ!」とエールを送るつもりでアルペジオを奏でてみたり

なんらかのシンプルな「自分発信のコミュニケーション」をしましょう。

コミュニケーション行為こそがあなたが舞台ですることであり、
これをウォーミングアップや基礎練習の中でも当たり前に結びつけておくと、
舞台で行うことは普段やっていることと根本的には同じになります。

そうすると、緊張感や恐怖感はあっても、「やること」はいつもと変わらないので、
うまくいきやすくなります。



【ステップ2:身体の使い方】

記事『ひとりでやってみるアレクサンダー・テクニーク』で、

「頭が動いて身体全体をついていかせながら、やりたいことを実行する」


舞台上では、

「頭が動いて身体全体をついていかせながら、楽器を構える」
「頭が動いて身体全体をついていかせながら、演奏・歌唱のための姿勢を作る」
「頭が動いて身体全体をついていかせながら、息を吸う」
「頭が動いて身体全体をついていかせながら、息を吐く」
「頭が動いて身体全体をついていかせながら、発声する」
「頭が動いて身体全体をついていかせながら、タンギングする」
「頭が動いて身体全体をついていかせながら、指を動かす」
etc..

演奏を構成するひとつひとつのアクション・作業を、「頭が動いて身体全体をついていかせながら」行うようにすることが、
緊張感や恐怖感のなかでも身体や技術の安定を生み出したり、あるいは気持ちを落ち着かせたりしてくれることもあります。

普段練習していることを正確に実行する大きな助けになるのです。


舞台で緊張感や恐怖感を感じたり、身体が硬くなってうまくいかないときは、必ずそうというわけではありませんが、多くの場合、頭を首や胴体に対してグッと押し付けて固定し、その結果身体全体が連鎖的に硬くなってしまっています。

普段の練習室や、ひとりでいるときなど安心・安全な状況で、ちょっとわざとこれをやってみましょう。


〜身体の使い方を悪い状態から良い状態へもっていく実験・練習〜

悪い状態をわざと作る
① 頭を首や胴体に対して引き込むか押し付けるようにして、グッと固めてみてください。
② その状態で呼吸してみてください。
③ その状態で椅子から立ち座りしてみてください。

良い状態へと移行する(『ひとりでやってみるアレクサンダー・テクニーク』を参考にしながら)
④ 頭が動いて身体全体をついていかせながら
⑤ 呼吸してみてください。
⑥ 同じく、椅子から立ち座りしてみてください。


どちらもきっと、簡単にできると思います。

本番前や、本番が近づいて不安になってきたときなどは、「良い状態へ移行する」ことをやりながら日常の動作をちょっと意識してやってみたり、構える、息を吸う、譜面を読むetc…楽器演奏や歌唱に含まれる色々な作業のひとつひとつを意識して行ってみてください。

それが、本番中に行うひとつひとつの動作を、自分で自分を良い状態にもっていきながら行うための大変良い練習になります。
日常動作や普段の練習でやっていることだと、緊張感や恐怖感のなかでもやることができるようになっていきます。



【ステップ3:アドレナリンサーフィング】

わたしが、6歳で音楽を始めてから四半世紀以上ずっと、人前で演奏するとき緊張や恐怖を感じたりしながらも、
その演奏の結果は良いときも悪いときもあることは冒頭にお伝えしました。

これはつまり、演奏のときに感じたり経験したりする

・心臓のドキドキ
・身体の震え
・口の渇き


といった身体的な変化が、必ずしも演奏を悪くするものではないことを意味しています。

医学的に異常だったり霞城だったりと認められるような反応を除くと、基本的にこういった変化は
健全かつごく普通いえる、心と身体の「興奮」が起きているといえます。

そして、そのような変化は、基本的に望ましいことです。
なぜなら、人前で演奏をすることというのは、とてもエネルギーが必要なことであり、
興奮はそのエネルギーが湧き出ていることに他ならないからです。

ここでは、その興奮のエネルギーがむやみに溜まってしまったり、流れが滞ってしまったり、あるいはそれを抑えつけようとしてしまったりする代わりに、
このエネルギーを受け止め、流し、演奏を助けてくれるように「使える」ものへとしていくためのエクササイズを紹介します。


このエクササイズを、わたしは「アドレナリンサーフィング」と呼んでいます。

もともとは、ワシントン州立大学演劇学部主席教員でアレクサンダー・テクニーク教師のキャシー・マデンさんが考案したものです。

アドレナリンサーフィングは

・自分の思っていること/感じている事をひたすら口に出す。
・五感で情報収集をする。
・自分の「好きなもの・こと」を口に出す


という3ステップから成り立ちます。

~1:感じていることを全て口に出す~
本番の日、朝起きたらきっと色んな気持ちや感覚が沸き上がるでしょう。身体が重く感じたり、不安を覚えたり、あるいは楽しみでどうしようもないくらいかもしれません。身体で感じ ることも、心で感じることも、全て声に出して言い続けます。こうすることで、自分の現在 地・現在状況とより接点を持てます。これは家でも楽屋でもリハーサル室でも、本番舞台袖や 本番中の休みの小節の間でもやってみるといいでしょう。

~2:空間を感じ、感覚を活性化する~
本番の演奏会場に着いたら、ホールの舞台や客席などを歩き回ってみてください。天井や舞台 の後ろなど、あらゆる方向や場所を眺めます。そうやって、まず視覚的に空間感覚的に、演奏 する空間全体を自分の内側に取り込んでいきます。次に、その会場のを音で感じて行きましょ う。ゲネプロ開始前だと、何人かの共演者がウォームアップしているかもしれません。話し声 が聴こえたりするでしょう。それらの様々な音が、演奏空間にどのように響いているか、感じ とっていきます。そういったことをしながら、演奏空間を触覚的にも感じましょう。まず、会 場の温度はどうなっていますか?場所によって温度や空気の感じが異なっているかもしれませ ん。また空気が流れているのが肌で感じられることもあります。床の堅さや材質を手や足で触 れたりコツコツ叩いて感じることもできます。そうやって自分の内側と外側への感覚的な気付 きに意識を向けて行きます。

~3:「~が好きだ」と声に出す~
1や2をやってだんだん落ち着いて来たら、こんどは本番に向けてエネルギーを高める番で す。そこで、「~が好き」と声に出します。「~」は何でも構いません。好きな食べ物、動 物、趣味、場所、季節など思いつくままに「~が好き」と声に出してみましょう。その好きな ものや好きなものと一緒にいるところを想像しながら。好きなことを考えることで、そもそも 演奏をやっている根源的なモチベーションを思い出しやすくなります。義務感や恐怖感という のは、確かに強いエネルギーで使い勝手がいいですが、嫌になって疲れるという良くない副作 用があり長続きしません。言うなれば石炭を燃やして燃料にしているようなものです。対し て、「好き」「やりたい」という意欲・望みはとてもクリーンで実は巨大なエネルギーなので す。言うなれば太陽エネルギーです。ただし、手っ取り早くはありません。このエクササイズ は太陽エネルギーを使えるようにしていくものだとも言って良いでしょう。

以上、1~3をそれぞれ2分程だけでもできますし、1時間づつかけることもできます。 何回でも好きなだけ繰り返すといいでしょう。

また、本番はまだ先でもすでに緊張や不安を感じているなら、毎日ちょっとづつでもこのエク ササイズを繰り返しておくと、さらに効果的です。




【ステップ4:聴衆とつながる】

いざ、舞台に立ったら、そのときただ一方的に「自分発信のコミュニケーション」として声や音を発するだけでは、うまくいきません。

コミュニケーションとは双方向的なもの(やり取りするもの)だからです。

音楽の演奏、とりわけクラシックや吹奏楽の演奏においては、
ストーリーを共有する相手としての聴衆から普通の能動的な発信は基本的にはない場合が多いですが、
それでも演奏者が発信だけしていてはうまくいきません。

聴衆は、

・その場にいる
・あなたの演奏を聴く
・終わったら拍手をする

といったことを通じて、あなたとコミュニケーションを取っています。

したがってまず最初に明らかに分かることは、一方的なコミュニケーションにならないためには、
聴衆からの拍手は、しっかり受け取らねばなりません。

たとえ、自分の演奏に満足していなくても、です。

拍手という形であなたに向かってコミュニケーションをしてくれているときに、
それを受け取らない、無視する、拒絶していては、コミュニケーションが成立しませんよね。


その場にいて、あなたの演奏を聴いてくれるという形でコミュニケーションをしてくれている聴衆に対しては、
あなたはその聴衆の方々を、まず「お迎え」し、「どうぞぜひ聴いてください」と「お誘い・お招き」する必要があります。

この「お迎え」や「お誘い・お招き」は、まず一番基本的で分かりやすいところで言えば

・舞台に出たら、聴衆を見ること(なんらかの理由で見ることができない場合は、別の感覚で認識すること)
・演奏中、聴衆と音楽を共有しようと意図し続けること
・演奏が終わったら、拍手を受け取り、微笑んだり聴衆を見たり礼をしたりすること

などが挙げられます。

しかし、それ以外にも

・演奏会の案内を出すこと
・チケットや申し込みを受け付けること
・席へ案内すること
・舞台に出たら、客席の聴衆を見たり微笑んだりすること
・曲目を解説したり、曲の良さや聞きどころをお伝えすること
・演奏中、集中するためであろうが切り離すためであろうが逃げ隠れするためであろうが、自分の世界に引きこもるのではなく、ずっと聴衆と音楽を共有しようという意図を持ち続けそれに基づいて音を奏でたり、あるいは休みの小節の間も音楽に意識を向けたりすること

などいろいろなことがやはり「お誘い・お招き」に含まれます。

いずれも、「聴衆とつながる」ことですね。


練習段階で聴衆がいないときなどは、仮想の聴衆を自分で設定して

「頭が動いて身体全体をついていかせながら、お招きしながら音を奏でる」

ことを普段からやり始めてください。

それが、舞台で求められ必要なことであるからです。
これを分かっているのと分かっていないのとでは、緊張感や恐怖感を乗り越えることにも、
奏でることになる音楽の質にも大きな差が出ます。

面倒臭がっては損するだけ!
ぜひきょうからでも取り入れ始めてください。



【他に役立つもの】

以上が、音楽を演奏するということの本質に立脚した、

・音楽の練習の仕方
・音楽の演奏の仕方
・本番の緊張感と恐怖感の乗り越えて行き方


です。

これを理解してやっていくことは、こういう理解がなかったひとや、こういう練習・準備をしてこなかったひとには
どんなひとにでも必ず役立ちプラスに働くと思います。


しかし、これだけでは解決しない問題や、これ以外にもやってみたりするといい方法はもちろんたくさんあります。


①あまりに震えがひどい場合など、医療のアプローチが必要な場合

ひとによっては、遺伝的または病理学的に、身体に強い震えが起きていることがあります。

原因によっては、完全に、あるいは大部分が薬などによる医学的な治療で解決することもあります。

また、震え以外にも主に身体的な症状で、本番の緊張感が発症のきっかけではあったとしても
原因は別にある場合があります。

お医者さんに相談することを、怖がったり恥じたりする必要はありません。
どうかひとりで抱え込まずに、医師の診療を受けてください。


②カウンセリングが必要/効果的な場合

ときに、本番の緊張感や恐怖感が、対人関係や未解決の過去の何らかの経験に根ざしていることもあります。

そういったことの問題が著しく表面するのが演奏時であって、演奏することそのものの問題でないこともあるのです。

そういうときは、カウンセラーによる心理カウンセリングが大変心強いサポートになることがあります。


③イメージトレーニングなどが役立つ場合

自分にとって大切な本番(全部の本番が大切だ、というひとも同様)に向けて、

・前向きに
・自信を持って
・集中して臨む

ことができるようにするために、思考を意識的に選択して整え準備していくプロセスがイメージトレーニング/メンタルトレーニングです。

オーディション、コンクールなどに臨む音楽家や、大会や試合に臨むアスリートたちが取り入れています。

イメージトレーニングやメンタルトレーニングには様々な種類がありますから、ぜひご自身で調べてみてください。

わたしがひとまずお薦めするのは、ジュリアード音楽院でも教えている

ドン・グリーン

という方の書いた本です。

代表例:
ドン・グリーン著/辻秀一監訳
「本番に強くなる!〜演奏者の必勝メンタルトレーニング〜」ヤマハミュージックメディア



④人生の流れ

余談になりますが、わたしが四半世紀以上付き合っている「本番の緊張と恐怖感」の問題がいちばん悪化したのは、音大生時代の前半でした。

本番中、息を吐いても唇が振動せず、音が全く鳴らないくらいでした。
それなのに、翌日になるとなんともないのです。

そんなことを繰り返すほど、深刻化しました。


そして、この問題を理解し、コントロールできるようになり始めたのもまた音大生時代でした。

きっかけは、自分が音大を卒業後、どんなスタンスで音楽と関わっていきたいのか、その望みを明確に認識できたときでした。

5年通ったドイツの音楽大学の、4年目の頃です。

アレクサンダーテクニークのレッスンを受けるようになり、ホルンの演奏技術面での成長は実感できるようになっていたにも関わらず、
人前で演奏するとき、特にクラスメートの前で演奏するときにコントロールできないほど体が震えたり、逆に虚脱してしまったりするなどの症状が続いていました。

それに向き合い取り組もうと、学校の掲示板に貼ってあった、同じ地域のフルーティストがやっているメンタルトレーニングのセッションに申し込みました。

様々な、いまでも役に立っているメンタルトレーニングやイメージトレーニングの手法を教わり、実践していましたが、
3ヶ月経ってもクラスメートの前だと全然うまくいかない状況が続いていました。

何度目かのセッションのときに、「今回もうまくいかなかった」とメンタルトレーナーに報告したら、彼女はこう言いました。

「…おかしいわね….これだけセッションを重ねても成果が出ないケースは始めてだわ」

・・・内心、ショックでした!ぼくは遂にそんなことを言われるぐらい、深刻でダメなんだろうか、と!

すると、彼女はこう言葉を継ぎました。

「もしかしてあなた、ホルン奏者になる以外道はないって思っているんじゃない?」

・・・何を当たり前のことを言っているんだ、わたしはそのとき思いました。

バジル
「そりゃそうですよ、芸術を志すなら親の死に目にも会えないくらいの覚悟で脇目もふらずに打ち込まなきゃだめでしょ?」

メンタルトレーナー
「そんなこと思い込んでいたら、そりゃ失敗するに決まっているわよ!リスクの大きい道だからこそ、安心してそこに取り組めるように、他の道の可能性も考えて用意しておくものなのよ。でないと意味のないプレッシャーに押しつぶされて開く才能も開かなくなるわ」

バジル
「・・・なんだって〜?」

メンタルトレーナー
「本当に、ほかにひとつも興味のある道はないの?」

…この問いかけが、わたしには非常に鮮烈なものでした。考えてもみなかったし、むしろ考えないようにしていたからです。

しかし、考え始めると、そもそもなぜ音大に進学しようと思ったかを、何年かぶりに思い出しました。

大学付属の中高一貫校に通っていたのですが、中学3年の時点で、このまま行けば進学できる大学に、特に興味が持てる学部や専攻がないことに気づいたのです。

そんな頃、始めて自分から申し込んでプロのホルンの先生にレッスンを受けました。
そのレッスンがなんだか面白くて、楽しくて、

『ぼくもこういうレッスンをやるひとになりたい!』

と思ったのが、音大に進んだそもそもの理由でした。

それは、音大に入る前にすでに忘れていたことでした。

この原点を思い出したとき、わたしは音大卒業後の次のステップとして、アレクサンダーテクニーク教師資格を取得したい
という強い興味が自分の中にあることに気付きました。

・・・そして不思議なことに、その次のクラス発表会では、いままでにないくらいバッチリ演奏できたのです。
震えや口の渇きなどはあったにも関わらず、です。

それから、教わったメンタルトレーニングの手法がちゃんと効果を持つようになりました。


このように、わたし自身にとっての「本番の緊張と恐怖感」の問題は、
自分が自分の心が本当に望むような生き方をしているときは鎮まっていき、
逆に何か勘違いをしたり無理をしていたりすると、また悪化していきます。

ひとによってはそのような側面もあるようです。
あなたは、どうでしょうか?


– – –

以上、2017年7月現在のわたしの、演奏するひとにとっての「あがり症」に関する、わたし自身の演奏とレッスンの経験をふまえた簡単なまとめです。

ぜひ、部分的にでも取り組めそうなところから取り組んでみてください。
そして、その成果や感想を、ぜひ教えてください。

また、周りの方々ともぜひこの記事をシェアしてくださると嬉しいです。

今後とも、引き続きこのブログをよろしくお願い申し上げます。


Basil Kritzer





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