プラン A

音程と本能的筋肉記憶の相関性を高める効果的な方法は、演奏をする前にその音程あるいは音型を歌うことである。

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a:一音目を、このように演奏しようという意図に合わせてまず歌う。そのあとで、実際に演奏する。
b:音型を、このように演奏しようという意図に合わせてまず歌う。そのあとで、実際に演奏する
c:ひとつひとつの音を、まず歌い、その後演奏する。

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歌うときには、息を支えてはっきり発音することを思い出そう。
演奏のときと同じように。
このエクササイズを繰り返すわけだが、今度は演奏す前に「心の耳」で音程を鳴らそう。

a:
このように演奏しようという意図に沿って、一音目を「心の耳」聴いておく。その後、実際に演奏する。実際に音を演奏するその瞬間まで、音程を「心の耳」で鳴らし続けておく。

b:
一音目を「心の耳」で聴きとってから、演奏する。
一音目を演奏する間、二音目を演奏する前に二音目を「心の耳」で聴いておく。その後、二音目を演奏する。
二音目を演奏する間、三音目を演奏する前に三音目を「心の耳」で聴いておく。その後、三音目を演奏する。
音型全体をこのようなやり方で続けていく。
これは「前もって聴いておく」ことの練習なのだ。
意図を確立して、適切な指示を脳に送り、あなたの意図を脳細胞が実行してくれるに任せるのである。

c:
音型の一音一音を個別に演奏する。前もって「心の耳」で聴き、演奏する前にその音の音程を「心の耳」で測っておく。

この音型を、半音上げてやってみる。

どんな曲やエチュード、エクササイズでも題材になる。「前もって心の耳で聴ける」ようなスピードで演奏してみよう。望む音程と響きにもっぱら集中していれば、あなたのアンブシュアは本能的に必要な調整を実行してくれる。しかしまず先立って、演奏する前にしっかり「聴ける」ように十分なゆっくりさで演奏する必要がある。
練習を重ねるうちに、この作業はもちろんより効率的になってくる。身体に楽器を演奏「させてあげる」あいだに、心の耳では歌っていられるようになってくるのだ。

長年にわたりシカゴ交響楽団でチューバ奏者を務めたアーノルド・ジェイコブズはこのように表現している。
「楽器が鳴らす音は、脳の概念的思考の鏡像である必要がある」
「学ぶ人は、音楽的に考えているように一貫した努力が為される必要がある。自分の楽器が鳴らした結果聴きたい音を、自分のマインドの中で聴いていられるような能力を発展させるべきなのだ。この絶大に重要な考え方は、毎日新たに思いなおすことで発展を促されるべきだ。」

同じくシカゴ交響楽団の首席トランペット奏者、アドルフ・ハーセスはこう言った。
「ある音やフレーズが、細かいところまでどのように聴こえているべきかの緻密な感覚を持つことが出発点でなければならない。そのうえで、音を作り出すために本能的に唇と息と楽器の圧力を操作修正するのだ」

(ブライアン・フレデリスケン著「Arnold Jacobs:Songs and Wind」 Wind-Song Press Limited 1996 より引用)

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プラン A」への3件のフィードバック

  1. 健康にご注意!

    これから紹介するエクササイズの目的は観察と最適化にある。教条主義的に一回の練習で長い時間をかえて全てのエクササイズを一つ一つ取り組んでしまうと、「分析神経症」にでもなってしまうかもしれない! 時間制限を設けよう。20分程度にしておいて、各ステップをあくまで比較手段として使い、自分自身の演奏を分析し向上させるための一助にして欲しい。このエクササイズは、練習の補完として使おう。 覚えておいて欲しい。「思っていることができること」なのだ。自分のやっていることに注意を集中してこそ、効果があるのだ。 ステップ1 真ん中のC(記譜のソ)をF管でラクに吹く。あまり小さくなりすぎないように。そのとき例えば次のことを観察してみる。 a:自分の姿勢 b:解放できそうな、身体の中のあらゆる不必要な筋肉的緊張 c:息の流れ 楽器を置いて、リラックスする。 観察したことを頭の中で総ざらいする。何か変えたいことがあるかどうか決める。どのように変えたいか決める。次はどのように演奏するか決める。そして実際に演奏する。 ステップ1を繰り返す。 ステップ2 「意識的に」息を吸い、息の支えを活性化させて、真ん中のドを吹く。 そして観察する。 a:1回目より、息はより深かっただろうか? b:息を吸ったとき、不必要な緊張が少しでも身体の中に発生しただろうか? 楽器を置いて、リラックする。 観察したことを頭の中で総ざらいして、ステップ2を繰り返す。 ステップ3 あなたの演奏した音はどうだっただろうか?聴きたい理想の通りに真ん中のソを声で歌ってみるのもよいかもしれない。 息を吸って、真ん中のソを演奏する。部屋の中で響く音を聴く。ベル側だけでなく、ベルより遠く、頭の上、自分の前。どのように響いているだろう? 楽器を置いて、リラックスする。 頭の中で、観察した事を総ざらいする。 ステップ4 息を吸って、真ん中のソを演奏する。自分の数メートル前にある想像上の点に向かって息が流れるようにさせてあげる。 観察してみよう。 a:もっと身体的努力を少なくして息を流してあげることができるだろうか? b:もっと「温もりある」音にできるだろうか? 息を吸って真ん中のソを演奏することは、大して身体的努力を必要としない。アンブシュアはそこそこ開いているし、これに必要とされる息の支えは最低限だ。したがって、「吹く」ことに使われる力も最低限で済むはずだ。理想的…

  2. 分散和音

    前回と同じようなやり方でこのエクササイズにもアプローチする。今回は、スラーで下降するときに毎回なるべく顎を下ろすようにしてアンブシュアをリラックスするように努力しよう。そうすると、アンブシュアのアパチュアがオープンになり、音もオープンになって、息が音を運んでくれるようになる。「前もって聴きながら」息の流れを使って上昇スラーを支えてあげよう。 「前もって聴いて」望み通りの音が実際に出せるように、必要な身体的物理的適応が起きるための適切な指令を脳が出せるようにしてあげよう。これらの指令は、出来る限りの範囲内において、本能的であるとよい。技術的な観察は、このプロセスをサポートするために使おう。邪魔になるようなものにせず。 これらのエクササイズ全てに共通して、終ったらプランAつまり「Singing on the Wind = 息に乗せて歌う」に戻って演奏する。そうすることで新しくそして改善された技術的な理解があなたの音楽性をサポートできるようにしてあげよう。 「結論」へつづく 「たった1日でうまくなる!管楽器奏者のためのBodyThinking in 大阪梅田」 日時:10月30日 時間:10:00?17:00 参加費:¥14,000→¥10,000(メルマガ登録割引。こちら→メルマガに登録する) 定員:12名のこり5名! 会場:大阪梅田BODYCHANCEスタジオ 申込:basil@bodychance.jp 内容詳細はこちら→ワークショップの気になる内容とプログラム バジルによる管楽器のためのアレクサンダーテクニーク in 名古屋 日時:11月19日 時間:14:00?17:30 参加費:¥5000→¥4000(メルマガ登録割引。こちら→メルマガに登録する) 定員:20名 会場:名古屋市演劇練習館「アクテノン」大練習室5 参加要件:実習ワークショップのため、事後アンケート記入/提出必須。 申込:basil@bodychance.jp バジルのアレクサンダー・テクニーク・デビューです (^-^)/ Basil Kritzer ホルン&金管トレーナー。 BodyThinking認定コーチ ThinkingBody 認定コーチ 京都華頂女子高等学校音楽科ホルン科講師。 香港生まれ、京都育ち。ドイツ・エッセンフォルクヴァング芸大ホルン専攻卒業。 現在、BODY CHANCE に…

  3. 自然倍音を用いたエクササイズ

    エクササイズ ステップ1 F管ホルンで、真ん中のドを美しい音で演奏する。うるさすぎず、静かすぎず。 音程を完全には失ってしまわないで済む程度に、マウスピースを唇から離して圧力を減らす。 マウスピースからの圧力を減らし、顎を下げることがアパチュアをオープンにする。 初めのドの音をここでまた吹いてみて、どんな感じがするか観察する。 自然倍音上のアルペジオをフルに満ち足りた音で演奏する。「前もって聴く」ことをしながら。(つまりドを演奏する前にドを「心の耳」で聴き、ドを吹きながらミを聴き、それからミを演奏し…というように。) それをしながら同時に、どんな感じがするか観察する。 初めのドと最後のドが、アンブシュアの感覚においても音の質においても同じになるように目指そう。顎の位置、アンブシュアの張り、音の質がいずれも同じになるべきだ。 頭の中で観察したことを総ざらいする。次にどうしたいか、決める。 ステップ2 十分な息の支えと響きの満ちた声で歌う。 次に「心の耳で前もって聴いて」美しい音でアルペジオを演奏する。 ステップ1ではアルペジオを吹くきにアンブシュアと息がどう働くか観察した。今度はプランAを使って、必要な修正を脳が本能的にみずから息やアンブシュアに対してやってくれるようにさせてあげる。意図する音の質とこれから演奏する音の音程に集中する。そうやって演奏する時、では音がどんな感じがするか観察してみよう。 「分散和音」へつづく 「たった1日でうまくなる!管楽器奏者のためのBodyThinking in 大阪梅田」 日時:10月30日 時間:10:00?17:00 参加費:¥14,000→¥10,000(メルマガ登録割引。こちら→メルマガに登録する) 定員:12名のこり5名! 会場:大阪梅田BODYCHANCEスタジオ 申込:basil@bodychance.jp 内容詳細はこちら→ワークショップの気になる内容とプログラム バジルによる管楽器のためのアレクサンダーテクニーク in 名古屋 日時:11月19日 時間:14:00?17:30 参加費:¥5000→¥4000(メルマガ登録割引。こちら→メルマガに登録する) 定員:20名 会場:名古屋市演劇練習館「アクテノン」大練習室5 参加要件:実習ワークショップのため、事後アンケート記入/提出必須。 申込:basil@body…

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