音をはずすことの効用

金管楽器では、音がよくはずれます。
では、「はずす」ってなんでしょう?

「意図した音」に対して「別の音」を鳴らした。

これが「はずれる」ですね。

こう言う風に書くと、そんなに悪い事でもないのが感じられるかもしれません(笑)
単なる「意図とは別の事が起こった」という事実に、どうしても「失敗したんだ」という解釈や評価を被せてしまいがちですね。

ここで、人間の学習過程からちょっと考えてみましょう。

赤ちゃんは、どうやって立つことや歩くことを学んだのでしょうか?
赤ちゃんたちは、まず「立とう」「歩こう」とします。

ですが、立つこと歩くことに必要な神経回路のつながりも骨格や筋肉の形成もまだ不十分です。
当然、転んでしまいます。

ですが、そこで赤ちゃんは私たち音楽家のように落ち込みません(笑)

「立とう」とした意図に対し、「立つ」という結果は得られませんでしたが、
体重移動ができたり、背中を反ることができたりという結果は得られています。
それが「立つ」という結果に近づく身体的かつ神経学的トレーニングになっています。
そうちしているに、段々と結果が意図に近づいてきます。

これを trial&error=試行錯誤 と言います。

大事なのは、赤ちゃんは「転ばないようにしよう」とは考えていない、ということです。
ひたすら、楽しげに「立とう」とします。
あるいは泣きながらでも「立とう」とします。

「転んだ」という結果の情報は、「立つ」ためのやり方を形成する必要不可欠な要素なのです。

ここから、私たち演奏者が学べることがあります。

奏でたい音のことを考え、とりあえずやってみる。
出た結果はなんであれ必要であり、活かされる。

「ハズした!」と思ったとたん、すぐにまた吹き直したりしてしまいますよね。これが、あまり建設的ではないのです。

なぜなら、例えば記譜のソの音を奏でようとして、ファが鳴ったとします。

これは、「ソをハズした」のではなく、「ファを完璧に鳴らした」んです。たまたま、意図したこととは少し違っただけなのです。

そのとき、「ファ」を鳴らした情報にマイナスのレッテルを貼ると、この情報はソを学ぶためには活かされません。

もし、ソを鳴らそうとして、ファが鳴ったら、祝杯をあげましょう。

ファが鳴ってくれたおかげで、ファの鳴らし方が上達し、ソの鳴らし方にも一歩近づいたからです!

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